対談最後のテーマとなりました「AIとキャリア」。今回も前回と同様に日豪で実際にIT企業を経営している方とについて「キャリア × AI × IT × 日本 × オーストラリア」をテーマに語りました。
ゲスト
※本記事はYouTube対談の内容をもとに、読みやすい記事として再構成したものです。発言は一部編集・要約しています。
17年前にシドニーへ移住。スタートアップやインキュベーターなどを経験した後、現在のIT会社を創業。現在は日本・オーストラリア・ベトナムに展開し、ITコンサルティング事業を行っています。日本とオーストラリアをつなぐビジネスにも積極的に取り組んでいます。
「あらゆるラストワンマイルにITで立ち向かう」をミッションに、ITを使って現場の課題を解決する事業を展開。標準的なシステムでは埋めきれない「最後の一歩」を、現場に入り込んで解決することを強みとしています。
オーストラリアの人材市場、特に日本人・バイリンガル人材と日系・グローバル企業の採用を見てきた立場から、日豪のキャリアの違いについて質問していきます。Career Meisterは、オーストラリアの求人紹介だけでなく、日本企業の期待とオーストラリアの労働市場の双方を理解したキャリア支援を行っています。
そして最後のテーマ。
ここから話は、AIとキャリアへ。
楠本:
AI時代にITキャリアを歩みたい人にとって、一番気になるところです。
最初のキャリアは、AIとガチンコでぶつかってしまうのではないか。ある程度シニアにならないと、IT業界に入りにくくなるのではないか。AI時代のIT人材には、どんな生き残り戦略がありますか?
高橋:
AIによって代替される仕事は、もちろん出てくると思います。
でも一方で、ITで解決できる領域そのものが広がっている。今まで「コストが合わないから、ここまではできない」と諦めていた部分も、AIによって安く、早く作れるようになる。
そうすると、むしろITが必要になる領域が増えていく可能性があります。
これまでITでは、「Fit to Standard」つまり「標準的なプロダクトに業務を合わせる」という考え方がありました。
しかしAIによって開発コストが下がれば、「Fit to Business」つまり「ビジネスに合わせてITを作る」という方向に戻っていく可能性があります。
全部オーダーメイドにしても、以前ほどコストがかからない。
顧客の細かい要望を聞き、それをAIやITにつなげられる人材の価値が高まります。
溝尻:
だから、これからのエンジニアには、「何が必要なのかを、とにかく聞く」
という能力が重要になると思います。技術そのものはAIがやってくれるかもしれない。
でも、「お客様は何を求めているのか?」「なぜそれが必要なのか?」「本当に困っていることは何なのか?を聞き出す。
つまり、人とAIをつなぐ役割ですね。
高橋:
そう考えると、エンジニアも少し「営業っぽく」ならないといけないのかもしれません。
楠本:
「営業になれ」というより、コミュニケーション能力を大幅に上げるということですよね。
溝尻:
そうですね。AIがどこまで人間の機微を理解できるかは分かりません。
だからコミュニケーションの部分は残ると思います。
英語でも日本語でも、単に話せるだけではなく、冗談まで含めて相手の意図を理解できるくらいの深いコミュニケーション。そこが重要になると思います。
楠本:
では、これからIT業界を目指す若い人たちはどうでしょう?
溝尻:
ここはかなり厳しくなっています。特にオーストラリアでは人件費が高いこともあり、AIがITのポジションに入ってきています。
優秀な大学を出たジュニアのソフトウェアエンジニアでも、なかなか仕事に就けないという状況が出ています。
昔は海外に行ってITの仕事をするという選択肢がありました。でも、その仕事自体をAIでできるようになってきた。だからジュニア層は本当に厳しくなっています。
なのでまずは、試してもらう機会を作る。そして現場に入る。「現場力」が非常に重要です。ジュニアももちろんですが、マネージャー層には、より現場で人と関係を作ることを意識してもらうようにしています。
あと、AIは責任を取れません。人間がやるべき仕事の一つとして「責任を取ること」も大事になってきます。
AIによって技術的な仕事が効率化されればされるほど、「人間にしかできないこと」の価値が上がる。
相手の話を聞く。ニーズを理解する。信頼関係を作る。
そして、「この人と仕事をしたい」と思ってもらう。
最終的に業界を問わず、この「人間力」が要になってくると思います。
最後に。
単純に、「日本人は日本が得意」「オーストラリア人はオーストラリアが得意」という話ではありません。
価値があるのは、人間力を駆使して「間」をつなげられる人かもしれません。
日本でIT経験を積んだ人がオーストラリアに行けば、日本の顧客理解+ITスキル+英語+海外経験が組み合わさる。
オーストラリアでITを学んだ人が日本に行けば、英語+海外のIT環境+日本語+日本市場への理解を組み合わせることができる。
そしてAI時代には、そこに、「AIを使って、その価値を何倍にもする力」が加わる。
特に日本とオーストラリア、2つの文化・市場・仕事の進め方を知っている人材には、「両国の間をつなぐ」という独自の価値があります。
AI時代のキャリアを考えるとき、「AIに仕事を奪われないにはどうするか」だけではなく、「AIを使うことで、自分だからできることをどう広げるか」という視点が重要なのかもしれません。
掛け合わせてスキルアップをしていくこと、人間力を身につけていくことがこれからのAI時代に必要なことだと思います。
① ITの専門性
「何ができるのか」
↓
② 実務経験
「何をやってきたのか」
↓
③ グローバル経験
「日本と海外の違いを理解しているか」
↓
④ コミュニケーション
「相手の本当のニーズを聞き出せるか」
↓
⑤ AI活用力
「AIを使って何倍の価値を生み出せるか」
↓
⑥ 人間力
「この人と仕事をしたいと思ってもらえるか」
という6つではないでしょうか。
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