近年、オーストラリアでは「給料が高ければ良い」という考え方から、「自分らしく働けるか」を重視する価値観へと変化しています。
世界的な人材サービス企業Randstad(ランスタッド)が実施した調査(2026年5月公開)では、オーストラリアの労働者が職場に求める要素として最も多かったのは「良好なワークライフバランス」でした。
実際の順位は次のようになっています。
つまり、多くの人が「給与」よりも「働きやすさ」を優先していることが分かります。
さらに17%の人は、「理想とするワークライフバランスが得られなければ退職する」と回答しています。
この結果から、ワークライフバランスは「あれば嬉しい福利厚生」ではなく、転職や退職を左右する重要な要素になっているのです。
一方、日本では少し違う傾向が見られます。
日本版の同じ調査では、日本の求職者が重視する項目は、
という結果でした。
現在も給与や待遇は重要な判断基準ですが、興味深いことに、転職を考える理由としては「給与への不満」を上回り、「ワークライフバランスを改善したい(33%)」が1位となっています。
つまり日本でも、「より良い働き方」を求める意識は確実に高まっていると言えるでしょう。
ワークライフバランスとは、仕事とプライベートを両立し、心身ともに健康的に働ける状態を指します。
オーストラリアでは、単に「残業が少ない」という意味ではありません。
仕事にやりがいを感じながらも、自分や家族との時間を大切にし、無理なく長く働ける環境そのものを意味します。
ランスタッドの調査では、ワークライフバランスを実現するために重要だと考えられている要素として、次の項目が挙げられています。
給与だけではなく、「誰と働くか」「どのような環境で働くか」も重要な評価軸となっていることが分かります。
Career Meisterでも、人材登録時に「仕事選びで何を重視するか」というアンケートを実施しています。
| 順位 | 重視するポイント |
|---|---|
| 1位 | キャリアアップの機会 |
| 2位 | ワークライフバランス |
| 3位 | 会社のカルチャー |
| 4位 | 給与・報酬 |
| 5位 | チーム・同僚 |
| 6位 | 学習・成長の機会 |
| 7位 | 勤務地・通勤のしやすさ |
| 8位 | 職務内容 |
| 9位 | 柔軟な勤務時間 |
| 10位 | 雇用の安定性 |
| 11位 | ダイバーシティ&インクルージョン |
| 12位 | リーダーシップ・マネジメント |
| 13位 | 企業の評判 |
| 14位 | 社会貢献 |
この結果から分かるのは、「給与」はもちろん重要ですが、オーストラリアで就職を目指す日本人(日本語スピーカー)として、それ以上に成長できる環境や働きやすさ、会社の雰囲気を重視する人が多いということです。
Career Meisterに登録される方の多くは、日本での経験を活かしながら、オーストラリアでもキャリアを築きたいと考えています。
海外で生活基盤を築き、新しい環境で成長していくためには、経験を積み、市場価値を高めていくことが欠かせません。
その一方で、長時間労働や仕事一辺倒の生活ではなく、自分自身の時間や家族との時間も大切にしたい。
つまり、多くの求職者が目指しているのは、
「キャリアアップ」と「ワークライフバランス」の両立です。
これは、実際に多くの求職者と向き合うCareer Meisterだからこそ感じられる、現場のリアルな声でもあります。
ワークライフバランスの価値観が根付いている背景には、オーストラリアならではの制度や職場文化があります。
例えば、フルタイム従業員の標準労働時間は原則として週38時間とされており、有給休暇も年間4週間(フルタイムの場合)が法定で保障されています。また、一定の条件を満たす従業員は、柔軟な働き方(Flexible Working Arrangements)を申請できる制度も整備されています。
もちろん、業種や職種によって忙しさは異なりますが、「長時間働くこと」よりも「成果を出して時間内に仕事を終えること」が評価される職場も少なくありません。
制度と文化の両面から、ワークライフバランスを実現しやすい環境が整っていることも、オーストラリアの特徴と言えるでしょう。
人材不足が続くオーストラリアでは、「給与を上げれば応募が集まる」という時代から、「働きたいと思われる会社づくり」が重要な時代へと変化しています。
特に日系企業では、
を整え、求職者へしっかり発信することが採用競争力につながります。
給与だけでは差別化が難しい今、企業文化や働きやすさも含めた「Employer Branding(雇用主としての魅力づくり)」が、優秀な人材の採用・定着の鍵になっています。
オーストラリアでは、「高い給与」だけが良い会社の条件ではなくなっています。
働きやすい環境、キャリアアップの機会、企業文化、そしてワークライフバランスを含めた総合的な働きやすさが、企業選びの重要な基準になっています。
Career Meisterの登録者アンケートでも、「キャリアアップ」と「ワークライフバランス」が上位に挙がっており、多くの求職者が「成長」と「自分らしい働き方」の両立を求めていることが分かりました。
そして企業側にとっても、ワークライフバランスや成長機会を提供し、それを適切に発信することが、これからの採用活動においてますます重要になっていくでしょう。
参考記事:
・日本の働き手の離職理由、長年トップの「報酬」を抜き「ワークライフバランス」が初の1位に 企業に求める条件の「世代間ギャップ」が明確化, ランスタッド, https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000381.000004185.html
・the ultimate toss-up: should you prioritise salary or work-life balance in 2026?, Randstad, 08 May 2026, https://www.randstad.com.au/career-advice/career-tips/ultimate-toss-should-you-prioritise-salary-work-life-balance-2026/
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