オーストラリア留学すれば就職できる?現実的なキャリア戦略

「オーストラリアに留学すれば、そのまま現地で働ける」

そう思って留学を検討している方は、決して少なくありません。

実際、現地に来てからここでの生活が気に入ったり、自分試しに「このままオーストラリアに残りたい」と考える人も非常に多いのが現実です。

その選択が本当に現実的かどうか、これまで20年ほどオーストラリア就職に携わってきたリクルーターとしてお話をしていきたいと思います。

動画でもご覧いただけます。

留学生の就職率は「想像より低い」

オーストラリアの教育機関が出しているデータによると、大学を卒業してから4〜6ヶ月後にフルタイムで働いている割合は、オーストラリア人や永住者でおよそ7割。

一方で、留学生は約5割にとどまります。

ここでいう「フルタイム就労」には、いわゆる専門職だけでなく、スーパーや飲食店などでのフルタイムの仕事も含まれています。

つまり、この数字だけでは「自分が目指していた職種に就けているかどうか」は分かりませんが、単純に「フルタイム就労」でも就職率の差が見えます。

数字だけを見ると半分は働けているように見えますが、実態はそれよりも厳しい可能性が高いのが現実です。

ちなみに大学院の場合の就職率は、現地学生8割、留学生5割程度です。

同じフルタイムでも、給与には明確な差がある

さらに、データ上では給与の差も明らかです。

修士課程を修了した場合、オーストラリア人や永住者の平均年収が約10万ドルであるのに対し、留学生は約7万ドル。

データ上から職種は確認できませんが、同じ「フルタイム」であっても、実際に差が出てしまっているのは事実です。

企業側目線で考えた時に、ビザの問題やローカル経験の有無を考慮すると、どうしても留学生は「リスクのある採用」になりやすく、そもそも就職が厳しい。それもあって給与にも差が出てくるというのがデータ上の事実です。

 

「3年後には留学生、現地生の差が埋まる」というデータの落とし穴

「3年後には留学生の就職率も8割近くまで上がる」というデータもあります。

一見すると希望が持てる数字ですが、実はここに大きな落とし穴があります。

というのも、この時点でオーストラリアに残れている留学生は、すでにビザや就職のハードルをクリアした「選ばれた人たち」である可能性がかなり高いからです。

逆に言えば、その前の段階で多くの人が帰国しているということでもあります。

つまり、見かけ上の数字は上がっていても、全体としてはふるい落とされている人が多いというのは、事実として知っておきたいことです。

ビザ制度が「就職難易度」をさらに上げている

現在のオーストラリアでは、就職そのものというよりも「ビザ」が大きな壁になります。

例えば、技術独立ビザであっても多くの場合、95点以上という非常に高いスコアが求められ、英語力や年齢、職歴すべてで高水準が必要です。

また、企業スポンサーのビザに関しても、最低給与が年々引き上げられており、市場価格やスーパーアニュエーションも考慮すると約9万ドル(1,000万円ほど)以上が基準となっています。

これは、新卒や未経験の留学生の採用ハードルを引き上げている背景のひとつです。

留学には価値がある!

ここまでの話を聞くと、「じゃあ留学しても海外就職はできない」と思った方もいるかもしれませんが、留学そのものの価値は、就職の場所を選べば非常に高く評価されます。

その後のキャリアを見据えた際の「留学という武器の使い方」を知っておくといいかもしれません。

実は最も現実的なのは「日本を経由するルート」

留学を経て、本人の努力と運で、希望職に就き、オーストラリアで就職できる人もいますが、これは経験上かなり稀な事例です。

オーストラリアでの就職を5年くらいのスパンで計画的に狙っていく、つまり、いきなり現地就職を狙わずに一旦別の場所で経験を積む。というのが、遠回りに見えて実は堅実なルートである可能性を秘めています。

例えば、

  • 日本に帰って、希望する専門性のある職歴を積む
  • 一旦日本で就職後、仕事の延長線上にある分野で大学院生として留学する
  • 経験やスキルを活かして現地転職につなげる

少し意外に聞こえるかもしれませんが、最も合理的なルートは一度日本で就職することです。

日本には「新卒」という強力な市場があり、今でもポテンシャル採用が前提となっている企業が多くあります。

一方で、オーストラリアは基本的に即戦力採用。

全く同じ経験・人材であっても、評価される内容が全く違います。

特に今の日本の労働市場は、働き手が有利な売り手市場です。留学をして日本に就職する皆さんは、一概には言えませんが、引くて数多であることがほとんどです。実際に留学後に日本で就職をする方は、満足して就活を終えるケースが多いように感じます。

その特権を最大限に活用して日本で経験を積み、専門性を持った上で海外に挑戦する方が、結果的に選択肢は大きく広がると思っています。

「オーストラリアに残ること」が目的になっていないか

もう一つ重要なのが、目的の整理です。

「オーストラリアで働きたい」のか、

それとも「オーストラリアに住み続けたい」のか。

この2つは似ているようで、まったく違います。

もし後者が目的である場合は、キャリアの方向性が崩れてしまうリスクがあります。時間もお金も投資した留学で、自分のやりたいことでキャリアを積める場所、リターンを得られる場所、今後のキャリアにつながる場所を総合的に考えてみると整理しやすいです。

もちろん、人生の優先順位は個人個人によって違いますので、すべての方が当てはまるわけではないと思います。自分と向き合って整理してみることが大切です。

結論|オーストラリア就職は「戦略がすべて」

オーストラリアで働くこと自体は、不可能ではありません。

ただし、それは「偶然」ではなく「設計された結果」です。

重要なのは、

  • 国が求めている人材になるのか
  • それとも戦う市場を変えるのか

この判断を早い段階で行うことです。

まとめ

留学は、人生において非常に価値のある経験です。

必要なのは、短期ではなく長期でキャリアを設計する視点です。

遠回りに見える選択が、実は最短ルートであることも少なくありません。キャリアの方向に悩んでいる方がいましたら、キャリア相談に来てください。


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